今週のポイント
今週のトルコリラ円は、まずは本日発表される複数のトルコ経済指標を確認。その後は、日米金利の先行きに対する思惑で上下するであろうドル円の動きに追随する展開が想定されます。米国では12日に5月消費者物価指数(CPI)と米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が公表され、14日には日銀金融政策決定会合の結果が明らかにされます。
本日の欧州序盤には、トルコ4月の経常収支や鉱工業生産そして失業率が発表予定です。注目ポイントの1つは経常赤字の幅でしょう。前回は予想以上に拡大し、昨夏以来の水準となる45億ドル超の赤字を記録しました。シムシェキ財務相は先日、政府の予想水準を大きく下回る赤字で着地するとの見通しを示しました。財務相の期待通りであればリラの支えになるかもしれませんが、逆に収支悪化が止まらないとリラの上値は追いづらくなるでしょう。
米国の金融イベントでは、FOMCメンバーによる今後の金利見通しが注目されます。ブラックアウト期間前の発言では利下げに慎重な意見が多かったため、年末予想の中心値が上振れする可能性も取り沙汰されているようです。その前に発表される米CPIも含めて、12日は市場の思惑が交錯し荒い値動きとなるでしょう。
日銀会合については、一部から「追加利上げ」という声も出ているようですが、まだ少数派の見方です。今回は金融正常化に向けた地ならしという位置付けではないでしょうか。注目は7月利上げ観測が強まった場合、どの程度まで円高が進むか。国債買い入れ減額に関する議論の進み度合いも注視されます。
ほかトルコからは、先週話題となった株式取引課税について、その税率や課税方法など具体的な話が出てくるかにも注意が必要でしょう。
今週のリラ円は、4月29日高値4.91円を超えるようだと節目5円が意識されます。下値めどは5月3日安値4.69円を見込みます。
今週の予定
10日 4月トルコ経常収支(前回 45.4億ドルの赤字)
10日 4月トルコ鉱工業生産(前月比 前回-0.3%)
10日 4月失業率(前回 8.6%)
先週の指標結果
(結果) (予想)
5月トルコ消費者物価指数(CPI)
前月比 3.37% 3.00%
前年比 75.45% 74.80%
5月トルコ製造業PMI 48.4 前回49.3
先週のトルコリラ円の動向
先週のリラ円は4.90円を前に失速し、4.73円まで下押ししました。リスク回避の動きが加速し、円買いが一気に進みました。もっとも一巡後は、4.80円台まで持ち直す展開に。大手米金融機関がトルコ国債を買い推奨したことも支えとなりました。5月トルコCPIは予想を上回りましたが、相場への影響は限られました。
引用元:LIGHT FX