今週のポイント
今週のトルコリラ円はまず、先週引け間際に大手格付け会社ムーディーズが発表したトルコ格上げの影響を見定めながの取引となりそうです。また、明日はトルコ中銀が金融政策委員会(MPC)を開き、その結果も公表します。リラ円の方向性はドル円に影響されることも多いでしょうが、週前半はトルコ絡みの材料にも注視する必要があるでしょう。
ムーディーズは19日のNY午後、トルコのソブリン格付けをB3からB1に引き上げ決定を明らかにしました。今年に入って「ポジティブ」に引き上げた見通しはそのまま維持しました。同社は、トルコにおけるガバナンスの改善が格上げの要因としました。具体的には、正統的な金融政策への確立された回帰が、主要マクロ経済の不均衡を縮小するという点で、目に見える成果をもたらしていると指摘しました。
ムーディーズのトルコ格付け引き上げは約10年ぶりとなります。格上げ自体は市場で予想されていたことですが、引き上げ幅は1ノッチのB2というのが大方の見方でした。発表されたタイミングが為替取引の終了直前だったということもあり、リラ相場の反応は鈍いものでした。しかしながら、トルコ債券市場がオープンする本日東京午後からは何らかの動意が見られると思われます。
トルコ中銀MPCでは、今回も主要政策金利が50%で据え置かれることが予想されています。注目ポイントとしては、市場で高まる秋以降の利下げ観測について、声明でどの程度までけん制してくるかでしょう。カラハン中銀総裁は先日、従来通りのタカ派的な見解を示していました。一方でシムシェキ財務相は夏以降のディスインフレに自信を深めている雰囲気です。
なお先週末から米国では、米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にしたブラックアウト(金融当局者が金融政策に関する発言を控える)期間に入りました。そのため米金利のベースとしたドル円の動きは、これまでのFRB高官の発言を精査し、米指標を確認しながら上下することになりそうです。また、米大統領選で優勢な共和党トランプ前大統領の発言にも相場は右往左往させられるでしょう。
月末には日銀金融政策決定会合も控えており、政府高官や金融当局者が利上げについてどの程度まで踏み込んだ発言が出るか注意する必要があるでしょう。本邦当局による円買い介入についてですが、日銀会合が近づけば相場を荒らすようなことはできないと思われます。週前半に何もしなければ、会合終わりまで静かなままと予想します。
今週のリラ円の上値めどは週初に4.89円まで低下する200日移動平均線、下値めどは3月29日安値4.65円を想定します。
今週の予定
23日 トルコ中銀、政策金利発表(前回 50%で据え置き)
先週の指標結果
特になし
先週のトルコリラ円の動向
先週のリラ円は週前半の4.80円を上値に4.68円まで売りが強まりました。米国の対中・半導体規制に絡んだリスク回避の動き、トランプ米大統領候補のドル高けん制発言などでドル円を中心に円高が進んだ影響を受けました。もっともドル円が持ち直すと、4.70円台で下値を切り上げました。
引用元:LIGHT FX